カオス

 カオス(Chaos)を辞書で調べると混沌とか無秩序とありますが、最近はカオス理論のカオスを指す方が多いようです。でもよく聞く割になんだか分からない言葉ですね。
 で、カオスを簡単に表現すると「決定論的なシステムでも、その動作が予測不能な不規則性を持つこと」となりますが、もっと大雑把にいうなら、「あいまいさのない仕組みで動くものであっても、結果はとんでもなくグチャグチャ、バラバラになることがある」ということです。
 私たちが理科で習った物体の運動というようなものは、初期条件を与えればどのように動くか予測できるものです。放物線とか勉強しましたね。そして、初期条件をちょっとだけ変えると、動く軌道もちょっとだけ変わります。ところが、初期条件はちょっとしか変わっていないのに結果がびっくりするほど変わってしまうことがある・・・ということが分かってきたのです。
 これはコンピューターの計算性能力が進歩してきたことと深い関係があります。コンピューターでいろいろな数式を計算したりシミュレーションを行って、だんだんカオスのことが分かってきました。カオスとして出てくるいろいろなパターンの中には、一部が全体の縮小コピーのようになっていることがよくあります。これはフラクタルと呼ばれて、カオスと一緒に語られることの多い言葉です。
 18世紀のニュートンの力学では、条件が正確に与えられれば物体の運動は未来永劫にわたって予測可能だとされました。しかし、それは20世紀に入ってハイゼンベルクの不確定性原理により否定され、さらにカオス理論においても否定されたわけです。未来が予測できない・・・、その方が人生は気楽でしょう。 --- Y.O.

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