円周率の記録

 円周率の説明で書いたように、コンピューターによる円周率の計算は1兆桁を超えています。円周率の計算はコンピューターの性能の分かりやすい指標でもあります。ENIACの時代から、常に最先端のコンピューターが何桁計算したというニュースが流れました。
 とにかく計算の速さや記憶量を競うわけですから、その時代の最高のコンピューターが記録を塗り替えてきました。ただ問題は、最先端のコンピューターは非常に高価で公共のものですから、円周率の計算などはちょくちょくできるわけではありません。現に2002年の世界記録1兆2411億桁は暫く破られることはありませんでした。
 2009年夏、久しぶりに記録更新のニュースが入ってきました。筑波大のスーパーコンピューターが、約2兆5769億桁の世界記録を樹立したのです。これまたすごい事ですが、コンピューターの進化のスピードを考えれば驚くほどのことでもないかというのが正直な感想でした。しかし、しかし、話はもっと面白いことになっていくのです。
 半年もたたない2010年1月、また計算桁数の新記録のニュースが入ってきました。またか、と思いきや…。計算したのはフランスの一般人で、使ったコンピューターは普通のパソコンだというのです。さすがに計算には131日も要したそうですが、記録は2兆6999億9999万桁。筑波大の記録をわずかに超えただけ。フランス人もなんと粋なことをするじゃないですか。
 この事件は、これまでスーパーコンピューターの周りの特権階級に握られていたチャンスが一般庶民にまで降りてきたということです。筑波大のスーパーコンピューターは約3日で計算したそうですから、パソコンはその40〜50倍の時間をかけたにすぎません。パソコンのコストパフォーマンスはすごいと思いませんか
 こうして、パソコンでも可能とわかったら挑戦する人がドッと出てくるんじゃないかなとだれもが思いますよね。はい、その通り2010年から2011年にかけてパソコンを長時間動かして20兆桁程度まで記録更新されました。こうなると、かつての記録争いとは別次元の問題という感じもします。 。--- Y.O.


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大同大学 情報学部 大石研究室