これはコンピュータ用語ではありませんが、よく知られた架空のコンピュータの名前です。アーサーC.クラーク原作でスタンリー・キューブリックによって映画化された「2001年宇宙の旅」に出てくる人工知能を持ったコンピュータHAL-9000(Heuristic ALgorithmic Computer)がそれです。この作品が発表されたのは1968年ですが、いまだに色あせないSF映画の最高傑作です。
さて、ここでHALが当時の(今も)大コンピュータメーカーである「IBM」のシーザー暗号になっているというのです。つまりIBMの各文字をアルファベットの順でひとつ前にずらすとHALになるのです。この話を聞いたことのある方も多いでしょう。しかし、作者のクラーク本人は機会あるごとにこれを否定しています。26の3乗分の1の偶然だと。
それはさておき、HALがコンピュータ科学やSFに与えた影響は計り知れないものがあります。1997年1月12日は小説2001年宇宙の旅の中でのHALの誕生日です。この日には実際に大勢のコンピュータ研究者らによってバースデイパーティーが行われました。
残念ながらクラークの予想は楽観的過ぎたようです。HAL級のコンピュータが出てくるのはまだ何十年も先のことでしょう。 --- Y.O. ---