イーサネット

 1973年頃、ゼロックス社のロバート・メトカーフが考案して、現在もっとも広く普及しているネットワークのプロトコル(通信規約)です。正確にいうと OSI 参照モデルにおける第1、2層つまり一番物理的な部分に関する約束事です。 LAN ケーブルで100(1000) BASE-T などの言葉を聞いたことがあるでしょう。それらはイーサーネットで使われるものなのです。
 さて、 ethernet の ether を辞書で引くと最初に有機溶剤のエーテル (CO が出てきます。「エーテル」と読むのは、江戸時代の末期にオランダから麻酔剤として伝わったからです。しかしイーサーネットはこれと関係ありません。
 第2の意味は、19世紀に天文学や物理学で考えられていた仮想の物質の名前です。当時、光や電波が何もないところ(真空)を伝わるはずがないと考える学者が多く、宇宙はエーテルという物質で満たされているのだという説が有力でした。結局20世紀に入ってアインシュタインの相対性理論によりエーテルは完全に否定されたのですが、「どこにでも伝えるもの」というのがネットワークのイメージに一致したのでしょう。メトカーフ本人が語ったかどうかは定かではありませんが、これが起源だと言われています。 ether の語源をさらに遡るとギリシャ語の「天空上層の空気」にたどりつきます。麻酔剤よりはロマンがありますね。
 ただ、 ethernet をコンピュータ用語として輸入したときエーテルネットとしなかったのはなぜでしょう。もしそうなっていたら語感がずいぶん違っていたと思います。   --- Y.O. ---

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