衝撃式電動工具の衝撃騒音低減研究

1.研究目的
今日,機械組立てや建築作業のねじ締め作業に,衝撃式電動工具(以降,インパクトドライバと称する)が用いられている。このインパクトドライバには,特殊機構と呼ばれる機構が組み込まれて衝撃トルクを発生しており,それによって大きな締め付け力を得ている。 ここで,特殊機構の簡単な説明する。特殊機構は,モータの発生する回転エネルギをバネの位置エネルギに変換し,ある機構によって瞬時に回転ハンマの回転エネルギに変換させてアンビルに打ち付ける方法で,この間歇打撃によって大きな締め付けトルクを得ている。しかし,大きな締め付けトルクを得る代わりに,特殊機構が発生させる間歇打撃による著しい騒音が生じ,事実上問題になることがある。  本研究は,この問題を解決するために新機構を考案,製作することを目的としています。






2.実験装置


プーリ式実験装置

ワイヤで懸垂した負荷質量を,インパクトドライバを作動させて, 連結したプーリを回転させて巻き取る構造になっている。 これによって, いろいろな負荷荷重におけるインパクトドライバの効率測定が可能である。  また,測定における運動方程式は以下のようになる。

 この式から,インパクトドライバプーリ式実験装置と基本的な事柄は同じであり, ァイバセンサ,ひずみゲージを用いることにより,ねじ締め回転角と衝撃トルクを 同時に測定することができる。




ねじ込み特性の実験装置

この実験装置は,木ねじを木材にねじ込むという, 実際の使用条件に近い条件での測定が可能である。しかし,木ねじを木材にねじ込むので, 母材である木材の均質性を保たなければ,データにばらつきが生じてしまうため,測定の際に注意が必要である。


トルク測定装置

負荷をコントロールして,負荷トルクと回転数の関係を測定する。装置は,測定部と制御部に分かれ, 測定部は被測定モータに負荷を与えるヒステリシスブレーキと,その負荷トルクを検出する変換器, そして,回転数を検出する光電式ロータリエンコーダからなる。 制御部は,ヒステリシスブレーキのコントロール部と,検出したトルク回転数をディジタル表示する表示部, そして,X−Yレコーダ等へのアナログデータ出力部からなる。