はじめに

長良川は岐阜県の大日ヶ岳に源を発し、 岐阜県中央部を南北方向に複雑な地形に従って蛇行し、さらに、肥大な濃尾平野を形成して伊勢湾に注ぐ長さ約166km、流域面積約1,985kmの水量豊かな大河川です。 この河岸では古くから人々が住み、路や舟や橋によって離れた土地の人々が出会い、 必要な物資を交換し、さらには集落を形成して、生活を通じて地域の文化や伝統を育ててきました。

古くは人々の交通の必要により渡し舟が設けられましたが、地元の人々の熱意と工夫によって橋が架設され、地域の交流が盛んになる中で丸木橋、舟橋や藤のつり橋の技術から、木造の桁橋、はね橋(地山から張り出し合わせた桁橋)、方杖橋へと進みました。

産業技術や交通技術の進歩と共に、鋼橋やコンクリート橋が発達して、重い自動車交通や、激しい風水害にも耐える、強い橋梁が架設されるようになりました。



岐阜市の長良橋も今日の連続鋼板桁の姿になるまで、岐阜と長良を結ぶ交通の要衡として渡し舟から舟を並べた舟橋・木トラス橋と変遷し、大正4年には、近代都市岐阜への成長をにらんで、軌道を敷設した鋼製のトラス橋が架設されました。

橋は人や車を安全に渡すだけでなく、古くから「心の架け橋」として、文学や芸術の作品にも取り上げられて、人々の心に刻み付けられてきました。今日では、渡る人が風景を眺める「憩いと安らぎの場」でもあり、地域の風景を引き立て、地域のシンボルとして、人々の思い出となるものでもあります。

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