<吊橋の概説>
吊橋(suspension bridge)は、ケーブル(cable)・アンカ
レイジ(anchorage)・塔(tower)および補剛桁(stiffening girder)などで構成さ
れている。主要部材であるケーブルは、高張力のピアノ線を束ねた引張部材であり、
座屈の心配もなく、全断面が一様な力を受けて最も有効に働く。そのため、死荷重
が著しく軽減でき、長大スパンの吊橋の建設を可能にしている。架設に際しては、
橋の主体がそのままケーブル架設工法(cable erection)に適しているために、特別
の足場が不要であること、また美観がよいことが特徴である。
しかしながら、ケーブルやその定着に莫大な費用を要することや、風に対する安
定性を十分に考慮した設計を行う必要がある。床組がケーブルから、吊材(ハンガ
ー(hanger)ともいう)で吊り下げられているだけの吊橋であると、活荷重などの局部
的な載荷に対して、変位や動揺が激しい。そこで、これを防ぐためには、補剛トラ
ス、または補剛桁を設ける。