ヤリガンナ初出土

本格的な鉄製大工道具

美濃加茂の尾崎遺跡

岐阜県美濃加茂市蜂屋町の尾崎遺跡で発掘調査をしている同市教委は25日、本格的な鉄製大工道具のヤリガンナがほぼ完全な形で全国で初めて出土した、と発表した。
大工道具のヤリガンナは13世紀以降の寺院建築を描いた絵巻物のなかにことから、その存在が推定されていたが、今回の出土で実在が裏付けられた。「大工道具の変遷を知る上で重要」と高く評価している。ヤリガンナは、須恵(すえ)器や土師(はじ)器などが出土した包含層で見つかった。これらの土器の年代かち推定して、8世紀後半から11世紀の物とみられている。 全長26.2cm。葉っぱ状の長さ12cmの穂先部分には、ヤリガンナ特有の湾曲がある。残りの細い部分は木製の柄にはめられ、大工が柱などの表面を滑らかにするのに使ったとみられる。ヤリガンナは穂先にこうした特徴を持つ鉄製大工道具の総称。 弥生時代に中国から渡来した。全国的には弥生―古墳時代の出土例が多く見られるが、いずれも穂先は数cm程度。大工道具以外に使われたらしい。 同遺跡では平成5年古墳時代後期(6世紀半ごろ)の鍛冶(かじ)工房跡が見つかつている。 空白埋める貴重な発見 奈見県立文化財研究所飛鳥藤原調査考古第2調査室の松村憲司室長の話 ヤリガンナの特徴である穂先の反り、形状から見て大工道具に聞違いない。中世の絵巻で存在が推測されていたが、その空白を埋めたといえる。調査を進めなければ分からないが、木工に携わる人たちの集落だったのかもしれない。大工道具の歴史を知る上で重要な発見だ。

「参考資料」:中日新聞:平成9年4月25日


文責:事口壽男

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Revised 9 Oct. 1996