§なごやの登録有形文化財§

広報なごやより



 ※文化財登録制度は、近代の建造物を中心とする幅広い歴史的建造物を文化庁に登録し、価値を周知することで保護を図ろうとする制度です。
 市内の登録有形文化財を6回シリ−ズで紹介します。


[最終回]

名古屋市役所本庁舎と愛知県庁本庁舎

 大津通に面して両庁舎が左右に並んで建っています。いずれも洋風の建物に和風の屋根をのせた「帝冠様式]で、隣接する名古屋城を意識したデザインです。
 名古屋市役所本庁舎(=写真左)は昭和8年完成。外観の意匠は懸賞募集され、建築家・平林金吾の案が選ばれました。中央の高塔(高さ53.5m)の屋根を和風の二層にして、最上部に四方にらみの鯱(しゃち)をのせ、名古屋城との調和を図っています。また正庁や貴賓室の内部意匠は、名古屋城本丸御殿を参考に設計され、玄関ホ−ルや階段には国会議事堂でも使われた良質な大理石を使用したと伝えられています。
 愛知県庁本庁舎(=写真右)は昭和13年に完成。外壁は2階の窓下まで花こう岩ばりとして、その上部6階窓下までは黄褐色のタイルを用いて、愛知県が陶磁器どころという意味も含ませています。6階の壁面には白色の磁器タイルを用いて城の白壁を連想させます。


[第5回]

十  州  (じっしゅうろう) 本館・離れ・長生殿  

  十州樓(北区東長田町4丁目)は、市内の料理旅館では唯一の登録有形文化財です。本館は昭和11年、離れと長生殿は昭和12年に完成した数寄屋風の建物です。いずれも木造入り母屋浅瓦(さんがわら)ぶきで、創建当時からほとんど改造がなく、昭和初期の料理旅館を知るうえで貴重な遺構です。
 本館は2階建てで、唐破風(からはふ)造りの玄関ひさしをもち、1階には6〜10畳の客室数室と調理場などがあり、2階には100畳敷きの大広間があります。古さと現代に通じる品の良さを持っている昭和初期の代表的な木造建築です。
 離れは、10畳2室が池の上に建ち2室とも違う仕上げで、中庭を望む静かな客室となっています。
 長生殿は結婚式場で、渡り廊下から階段を登る高床式の建物です。古代豊かな内部の造りは、当時の結婚式場の趣を現代に伝えています。


[第4回]

名古屋港跳上橋 (旧1・2号地間運河可動橋)  

名古屋港跳上橋は、昭和2年に築地ふ頭(旧1号地)とガ−デンふ頭(旧2号地)を隔てる運河に架けられました。この橋は、運河を航行する船舶のための可動橋で、4つの桁(けた)のうち、1つが可動する形式です。
当時、名古屋では紡績業が盛んで、原料の綿花を名古屋港へ直接輸入する目的で、1号地東北隅に倉庫を建設し、2号地まで敷設してあった臨港鉄道を同倉庫まで延長するためにつくられました。完成当時は頻繁に開閉し、その下を船舶の通行に利用された蹴上橋も、輸送機関の主役が鉄道からトラックに移ったことに伴い、昭和61年にその使命を終えました。
 名古屋港には可動橋は3つありましたが、現存するのはこの蹴上橋のみで、現在は名古屋港のモニュメントとして、桁を跳ね上げた状態で保存されています。


[第3回]


 南山学園ライネルス館(写真 上 左側:昭和区五軒家町)は昭和7年完成。同学園創立者のヨゼフ・ライネルス神父にちなんで名付けられた建物です。丘陵の斜面に背中をグランドに向けて建ち、正面玄関は4本の円柱の上にひさしを優しく出し、パラペット(建物上部や屋上に設けた低い手すりの壁)には山形の切り込みをとっています。外観は左右対称で黄土色の人造石の洗い出しで仕上げられ、落ち着いたデザインになっています。

   金城学院高等学校榮光館(写真 上 右側:東区白壁四丁目)は、昭和11年に講堂兼礼拝堂として建設されました。開口部はア−チを採用し、1階に図書室、2階に講堂、3階に祈とう室・礼拝堂と講堂の2階席を設けています。外装はクリ−ムがかった白色で壁面に深い彫りのア−チ窓が連続し、パラペット上部に赤いスペイン風の瓦(かわら)をのせ、調和のとれた教会風の明るく清楚(せいそ)な姿となっています。 



[第2回]

 愛知学院大学楠元学舎第1号館(=写真左)は、昭和3年に旧制愛知中学校本館として建てられました。
東西に長い棟の南中央に大きなア−チ型の重厚な玄関車寄せを設け、棟の両端は前方に張り出して、左右の均整をとっています。スクラッチタイル(昭和初期に流行した表面をくし引きした縦じま模様のタイル)張りの外観、1・2階を通した柱形、柱形頂部のひさし状の装飾などに時代の特徴があらわれています。


 東海学園大講堂(=写真右)は昭和6年しゅん工。外観は人口の大きな半円ア−チのほか、2・3階の開口部を外側に膨らませ、5本の付け柱と装飾のひさしを設けたり、軒先のパラペット(建物の上部や屋上に設けられた低い手すりの壁)にアクセントを付けるなど華やかな意匠です。外装は薄い茶色のスクラッチタイルを用い、左右対称で全体に骨太のため、威風堂々とした感じを受け、時代の流行を反映した地域の歴史を表す建物です。



[第1回]

徳川美術館 本館・南収蔵庫

 

 徳川美術館は、尾張徳川家に伝来した大名道具をはじめとする数々の美術品を展示公開しています。
 本館、南収蔵庫ともに昭和10年竣工。本館は、当時流行した亭冠様式(=城の屋根のようなものを冠した建築様式)のデザインで、緑色釉薬(ゆうやく)瓦葺(ぶ)き、同色の鯱で飾られています。全体に荘重な雰囲気を持つ反面、玄関の腰壁や車寄せ天井などの細部には、工芸技術を生かした繊細な作りが見られます。南収蔵庫は切妻造、本瓦葺きで、開口部がほとんどない大壁造り風の重厚な外観で収蔵庫としては理想的な室内環境であり、多くの貴重な資料が収蔵されています。


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