狛犬(こまいぬ)

所在地: 岩手県水沢市黒石町   天台宗 黒石寺 TEL 0197-26-4168
交  通: 東北新幹線 江差水沢駅より 車15分

材料;鋳鉄製  


 黒石寺の寺門に置かれているこの一対の狛犬は、獅子に似た獣像で、黒石寺守護の魔除け鋳像とされています。この一対の狛犬像は、篤家あるいは羽田の鋳物師によって黒石寺に奉納されたものと云われているのみで、鋳造した年および制作者は不詳です。
 作品は、砂鉄を原材料として作られた鋳鉄製の鋳物で、大胆に文様を浮き出させた工芸的にも価値ある美品となっています。像の高さは、約750mm、正面の幅 約800mm、奥行き 約300mmとなっています。
 この像の肉厚は約2〜3mmです。鋳造した鋳型は、惣型による焼き型法で正面と背後とを上・下型として型取りし、像を中空とするために焼き中子を使ったと考えらます。 像の材質は、おそらく像表面の腐食の進行と、像のき裂から観察すると白鋳鉄で作られていると考えられる。また、何らしかの事故か、鋳造当初における熱応力によって破損したと思われる前足付け根部には鋳ぐるみの痕が認められます。
 



向かって左面像の背後の様子      右面像の背後の様子          

 
 水沢市羽田の鋳物
 水沢市羽田(はだ)町は、南部鋳物師の歴史ある町です。この近隣には、後背地にあたる北上山地の砂鉄、木炭およびこの羽田町の北上川旧河川跡から出る質の良い砂と粘土などの鋳型材料が容易に手に入れられることから鋳物業が栄えたものです。
 この羽田に鋳物が伝えられたのは、藤原清衡が豊田の館(江刺市岩谷堂餅田)に居住した頃、近江(滋賀県)から鋳物師を招き寄せて日用的に使う鍋や釜を鋳らせたことが始まりとされています。この平泉文化全盛の頃には藤原氏の保護を受け、中尊寺を始めとする寺院などの備品も鋳造していたとされています。 この羽田の鋳物業は、室町時代の初期(明徳年間:1390-93年)には、京都聖護院の長田正頼(鋳物師)が奥州下向に際して、羽田町の千葉家に身を寄せ、その技術を鋳物師より千葉家が受け継いでこの地方の鋳物の元祖となりました。この明徳年間には、奥州総奉行の葛西氏に、鋳物師千葉政頼として召し抱えられています。 
 
  この南部鉄器のふるさと水沢市では、毎年7月第2土曜日と日曜日に「鋳物まつり」が開かれて、羽田で作られた鋳物製品が格安で販売されています。また、地元の伝統工芸士らによる鋳物創作展や風鈴みやげ品秀作展などが開かれ、全国から多くの観光客を集めています。
 また、明治初期の南部鉄瓶の製作工程がいつでもみられるようにした工場再現展示や現代創作品などが展示された「キューポラの館」があります。
 キューポラの館 (水沢市伝統産業会館)
  場   所:岩手県水沢市羽田町駅前1-109   電話0197-23-3333
  交   通:東北新幹線 江差水沢駅前 徒歩3分
  開館時間:9:00−17:00
  休 館 日 :月曜日


黒 石 (こくせき) 寺
 

 黒石寺の後方に位置する妙見山があり、この地域には緑灰色の蛇紋石が産出するためか、嘉祥2年(849)に東光薬師寺の名を妙見山黒石寺と改めたられた。黒石寺は、天平元年(729年)に行基菩薩の開基とされたといわれ、「東光山薬師寺」とよぶ名で建立された、天台宗の名刹です。建立当時は、伽藍48宇を数えたと云われる。現在の建物は、3度の火災にあい、明治17年(1884年)に再建されたものです。本尊の木造の薬師如来座像は貞観年間(1100年前)の銘があり、滋覚大師像とともに国宝に指定されている。 黒石寺(こくせき)
 
  *蛇紋岩−−山脈などの造山運動にともなう変成地域で産出する緑色、緑灰色の鉄マンガン含水珪酸塩からなる造岩鉱物である。脂状、絹状光沢をした滑らかな緻密な硬い鉱物である。
 *こま犬 【水沢鋳物発達史考(上)小林晋一著】
本堂の登り坂の左右にある一対の鉄製もので、高さ約4尺の鋳造に苦労したことが知られる。銘はないが明治初年 及川重右エ門の作と云われてきた。
 
 
 正法寺 (水沢市黒石町)

  文福茶釜(製作年代不明) 
  鋳鉄製 高さ300mm 口径210mm。文福とは、茶釜のお湯が沸くときに発する音の擬音語である。この茶釜は正法寺の七不思議の一つと言い伝えられているもので、伊達政宗の時代には既にあったと伝えられているものである。
 伊達公が「白湯を汲めども汲めども尽きつきないと」驚いたと云われる。また、火災にあったとき釜は池に飛び込み蓋は茂林寺に飛んだとの言い伝えがある。





 貞和4年(1348年)に開基された、永平寺や総持寺と並ぶ曹洞宗の第三に大きな本山である。惣門にある(下の写真)蛇紋岩の石段と茅葺きの屋根の本堂は見所である。この写真(上の写真)の本堂や庫裡、惣門は重要文化財になっている。




仏殿本尊・釈迦三尊坐像  (室町時代 明徳3年(1392年) 中尊像 高さ53cm)





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