篠原 主勲 教授 [Kazunori SHINOHARA]

プロフィール

学歴
平成11年 3月 同志社大学 工学部 エネルギー機械工学科 (学士)
平成13年 3月 東京大学 工学系研究科 システム量子工学専攻 (修士)
平成18年 9月 東京大学 工学系研究科 システム量子工学専攻(博士)

学位
博士(工学)

現在までの経歴
独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 情報・計算工学センター(JAXA/JEDI)

現在の研究テーマ

宇宙空間は、地上では考えられないような物理現象が生じます。例えば、数千度の高温状態や、時速数十万kmの物体の移動速度、放射線による材料劣化などです。地上では宇宙空間を模擬するような実験設備を構築することが大変難しいため、実験的なアプローチには限界があります。そのため、簡易に評価する方法が必要とされています。そのひとつの解決方法として、計算工学(シミュレーション工学)が期待されています。私の研究室では、この計算工学を通して、宇宙機器に関する研究を行っています。

研究テーマの魅力

宇宙空間には10の24乗立方メートルの大きさを有する超銀河団があります。超銀河団は、10の22乗立方メートルの大きさを有する銀河団から構成されています。銀河団は10の20乗立方メートルの大きさを有する銀河系から構成されています。銀河系の中に10の12乗立方メートルの大きさを有する太陽系があります。太陽系の中に、10の7乗立方メートルの大きさを有する地球があります。太陽系の惑星は、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星からなります。太陽系外には、様々な惑星は存在します。しかし地球から観測できる範囲は、銀河系の狭い領域のみです。高度な観測技術を確立できれば、広大な宇宙に、人類が知りえないような新発見がたくさんあるでしょう。宇宙観測のための人工衛星・探査機開発およびロケット開発を通し, 宇宙を観測する技術を構築することで、さらなる最先端の技術開発や経済効果が期待できます。

MESSAGE

在学生へのメッセージ

2015年10月に公開されました阿部寛さん主演の「下町ロケット」をご覧になられたでしょうか?中小企業の社長に扮する阿部さんが「いい年したおっさんが夢を見て何が悪い。」「町工場が夢を持って何が悪い。」「どんな難問にも必ず答えはある。」と発言する場面があります。ロケットの開発途中で様々な難しい問題にぶつかり、苦しむ場面です。技術者を志すものは、ものづくりの開発現場で常に未知の難問ぶつかることになります。皆さんも夢や情熱を持って、どんなことにも、自らの力で切り拓いていく気概で、勉学に励んでください。

受験生へのメッセージ

なぜ、数学は必要なのか?といった質問をよく受けます。大学の数学とは、小学校、中学校で学ぶ数や四則演算についてのみ勉強しているのではありません。数学は英語で、「mathematics」と言います。その語源を調べると、数の学問ではありません。数だけでなく空間や量、構造、証明や論理、図形などからなる哲学のひとつでした。この世の全ての"ものづくり"は、数学(哲学)の知識の上に成り立っています。例えば皆さんがよく手にとって操作するスマートフォンは、複雑な機能を制御するための小さな電子回路から構成されています。その電子回路は電流の入力や出力の複雑な組み合わせを信号と捉え、その信号を制御することで複雑な機能を再現しています。それでは、その複雑な信号を制御するためにはどうすればいいのでしょうか?信号は数字の羅列です。その数字の羅列には様々な規則性や法則性が見え隠れしています。その規則性や法則性を発見するために、分析や解析などの方法として、まさに数学という哲学が必要になるわけです。